違うのは悪くない

異質な要因を持たない人を 正常といい 異質な要因を多少でも持つ人を 異常だという 20人のうち19人は 基準範囲のなかに入り 正常といわれ 20人のうちひとりだけが 基準範囲の外にいて 異常ということになる 誰が普通で 誰が異常なのか 異常な人がなにか悪いことをしたというのか 違うのが 悪いわけではないのに 違うというだけで異常といわれる なにが普通で なにが異常なのか 背の高いのは異常なのか 背の低いのは異常なのか 太っているのは異常なのか 痩せているのは異常なのか 血圧が高いのは異常なのか 血圧が低いのは異常なのか 成績がいいのは異常なのか 成績が悪いのは異常なのか 同じことを考えないのは異常なのか 同じことを感じないのは異常なのか 同じことを望まないのは異常なのか 同じことに従わないのは異常なのか 同じ宗教を信じないのは異常なのか 同じ教育を受けないのは異常なのか 同じ知識を持たないのは異常なのか 同じ経験を持たないのは異常なのか 同じ信念を持たないのは異常なのか 同じ能力を持たないのは異常なのか 同じ価値観を持たないと異常なのか 違うのはそんなにいけないことなのか 同じなのがそんなにいいことなのか ひとりひとりが違うのに 基準上限値とか基準下限値を外れれば 異常とか おかしいということになる 異常でなく なにもおかしくないのに まるで悪いみたいにいわれ 間違っているかのように扱われる 違うのは 悪くない 違うからといって悪いというのが 悪いのだ